『ドルアーガの塔』研究室 管理日報

『ドルアーガの塔』研究室管理人・GILによる、更新履歴だったりつぶやきだったりてきとーに。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

映画『シュガー・ラッシュ』感想(ネタバレあり)

今回は話題の映画『シュガー・ラッシュ』について書きたいと思います。

『フィックス・イット・フィリックス』と言うゲームで、来る日も来る日も悪役を務めるラルフ。
ある出来事をきっかけに、ヒーローのメダルを手にしようと、ほかのゲームに参戦。念願のメダルを強引に獲得するも、トラブルからラルフはシュガー・ラッシュというレーシングゲームに迷い込んでしまう。
そこで出会った少女・ヴァネロペに、メダルを奪われてしまい……。


といったようなお話ですが、ネタバレ感想は折りたたみます。
もう映画を観た方は、下のリンクをクリックして続きをどうぞ~。

いやー、よくできた映画でした。
ひとりで観に行ったのをいいことに、途中からボロボロ泣きまくり……。
あまりに面白かったので、都合3回も観に行ってしまいました。

もうすぐ上映も終わってしまいそうですが、ここではあくまで『ゲーム』に関連する要素に絞り、この映画の魅力について語ってみます。


■設定
モニタの中にはゲームの世界があって、プレイヤーはそれをのぞき見てる。
逆に、キャラクターたちからも外の世界が見える。
とにかく、この映画はこの「設定」に尽きるでしょう。

営業が終わったゲームセンターで、仕事を終えたゲームキャラクターたちが交流する……というクロスオーバーの世界、ゲーム好きなら誰しも一度は妄想したことがあると思います。
実際、そうした妄想に先んじてゲーム側で応えたのが、『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズであり、『カプコンvs.SNK』『ナムコ×カプコン』といった作品群なのでしょう。

ダンスダンスレボリューションのキャラがみんなに「営業時間が終わった」と呼びかけ、デモ画面で戦っていたリュウとケンがタッパーにルートビアを呑みに行く。ラルフはそれまで何度も呼ばれていたが出席していなかった“悪役グループセラピー”に出席。そこにはベガやクッパ、グズタなどの悪役がいてお互いを励ましあう……なんかもう、学生時分の妄想が具現化されたようで、本当たまりません。
だから、個人的には「よし、よくぞやってくれた!」という喜びと、「ちくしょう、先を越された!」という悔しさが同居する、不思議な感覚でした。

それと、電源タップが「ゲーム・セントラル・ステーション」として、すべてのゲームの交流場となっているのもポイントです。
古いゲームは電源プラグを抜かれることで世界が消えてしまいますが、その前に電源タップに避難すれば、そこで生き存えることが可能なのです。数多のキャラクターたちが、ステーションに残っていたのも(職をなくしたというQバートが留まることができたのも)、この設定ゆえのこと。
ちなみにセキュリティ担当の名前が「サージ・プロテクト」というのも、ニヤリとさせられますね。

ゲームにコインが入れられると、ゲーム内で「コイン警報」(ヒーローズ・デューティ内のステーションの看板には、「QUARTER ALERT」と書かれています)が発令され、キャラクターたちがそれぞれの役割をこなすべく、配置に就く。
今日も彼らは、プレイヤーのために役割をこなし続けているのです。


■『フィックス・イット・フェリックス』の世界

この映画の設定を語るのに、最も象徴的なのがフィックス・イット・フェリックスの世界と言えます。

1982年にリリースされたという設定のゲーム。
最新ゲームだった30年前、左右に並ぶのは『アステロイド』にターボタイム(後者は架空のゲームですが、この映画の重要なカギを握るタイトルです)。ラルフのモノローグでは『ディフェンダー』や『センチピード』の名前も出てますね。
ちなみに現在は、向かって左に『パックマン』、右に『スペースインベーダー』が設置され、その並びには『ストII』が置かれているなど、いわゆる“レトロゲームコーナー”の一画に置かれているようです。

そして、この世界の中の人々も、基本的に1982年のクオリティです。
フェリックスとラルフ以外(マンションの住人)は、いずれもアニメーションパターンが極端に少なく、妙にカクカクした動きになっているのが笑えます(これは『タッパー』の客を見ても、ゲームの年代で動きがまるで違うのがわかります)。
さらに、30周年記念パーティーでラルフがケーキを潰したとき、飛び散るクリームも妙に解像度が粗くなっているのもポイント。
そして、そのパーティーで流されていた曲は、KOOL & The Gangの1981年のヒット曲「Celebration」。ちなみに、この曲は後にJT PLAYAZの手で「LET'S GET DOWN」としてカヴァーされ、それが初代『ダンスダンスレボリューション』に収録されます。もしかして、これもまた狙った選曲なのでしょうか……?

かように、彼らは30年間、ひたすら同じ世界で同じゲームの役割を同じロジックでこなしているのです。
それゆえ、とくにマンションの住人は「変化」というものを良しとしなかった……というより、「変化」という概念がそもそもなかったのでしょう。
さらに、フェリックスですら『ヒーローズ・デューティ』のカルホーン軍曹を見てこんなに解像度の高い人は初めてと語ってたり、またその言動も妙に時代がかった面があることから、意外にゲームの世界からほとんど外に出てないのかもしれません。

『フィックス・イット・フェリックス』の世界では、『タッパー』でたびたび酔いつぶれ、セキュリティにも毎回のように引っかかるラルフが、じつは一番外の世界を見ているキャラクターなのです。
それが他のキャラ、とくにマンションの住人とは意識のギャップを生み出し、「メダルを取る」という“常識外”の行動に駆り立てたのでしょう。


■ゲームという未知の海
この映画には、ゲームが好きな人、さらにゲーム作りを知る人にとって、ニヤリとさせられるワードが端々に出てきます。

顕著な例では、『シュガー・ラッシュ』における、
ヴァネロペは表示が乱れ、ワープするという不具合を抱えているため、キャラクターとしては存在するがゲームには登場しない
ヴァネロペの棲み処が、「ボーナスステージになる予定だけど使われなかった」ダイエットコークの火山
このあたりの「データはあるけどゲーム中に出現するようプログラミングされていない領域」は、昔から――それこそゼビウスで広まった隠しキャラクターの概念に始まり、わりと最近のゲームに至るまで、プレイヤーたちをワクワクさせたものです。
(最近はむしろゲームの受け手側から、MODという形で提供されたりしますが……。)

ヴァネロペがのちに「不具合をコントロール」し、「任意に不具合を出す」ことができるようになり、ついには「キャラ特性」にまでなってしまったのも、面白い部分です。
不具合とはいっても、元々プログラムなのですから、それがそのまま仕様になってしまうことは往々にしてあること。
例えば、『ストII』の技キャンセルが、元々バグの産物だったものを、ゲームの面白さを増すことからそのまま仕様として組み入れた、というエピソードが有名です。また、『ゼビウス』の隠しキャラクターが概念として新しすぎたため、遠藤雅伸さんが会社に受け入れられないことを懸念し、「どうしても取れないバグです」と言い張って強引に通してしまった……という逸話もあります。

こういう、「ゲームという未知の海の中には、世に出ることのない要素が人知れず眠っている」という都市伝説めいた話が、この映画の根幹を成す設定となっていることも興味深い点です。


■こまごまとした感想
前述の悪役セラピーにはいろいろなキャラが出てきますが、個人的に気になったのが仕切り役のグズタ
これ、海外では「クライド」なんでしょうね。日本じゃ『パックマン』時代のリーダー格は、赤のアカベイでしたから。日本でも『パックランド』は、オレンジの「クライド」がリーダー格になってましたけど。

舞台はゲームセンターなのですが、意外と家庭用ゲーム機のネタも多いですね。
例えば、『パックマン』の世界から戻ってくる列車(「パックマノレール」と書かれてました)のステーション側の壁に、「AELIS LIVES」や「ALL YOUR BASE ARE BELONG TO US」などと書かれていること。前者は『ファイナルファンタジー7』でさまざまな論議を巻き起こしたエアリスのネタ、後者は「日本人による誤った英訳」の代表格として知られる、メガドライブ版(海外ではGENESIS版)『ゼロウィング』のネタですね。
そこから戻ってきたラルフが抜き打ちのセキュリティチェックに引っかかり、名前を聞かれて「ララ・クロフト」と答えるのも家庭用ゲーム機の話。
……好意的に解釈するなら、かつてこの電源タップを家庭用ゲーム機につないでいたとか、筐体側から見る外の世界で子供たちが話題にしてたとか、そんなところでしょうか?

ちなみに、ソニックやエッグマン、クッパらは立派に“アーケードゲームのキャラ”でもあります。

カルホーン軍曹に悲しい過去が「設定としてプログラム」されていましたが、最終的にフェリックスと結婚してしまったり、また『Qバート』のキャラクターたちが『フィックス・イット・フェリックス』のボーナスステージに登場したりと、ラストはゲームのワクを超えた展開になります。

元々、『ターボタイム』のキャラクターでしかなかったターボが、長い年月を経て『シュガー・ラッシュ』を乗っ取り、ヴァネロペ女王をゲームから外して自身がキャンディ大王に成り代わったのも、ターボがゲームのプログラムを直接いじれるようになったからです。
(ちなみに、プログラム領域の扉を開けるのは例のコナミコマンドですが、それが『タッパー』の紙ナプキンに書かれていたので、そうした情報が『タッパー』でやり取りされていたのかも……?)

と、いうことは、やはりゲームプログラムを書き換えて、新たな「設定」をプログラムしたのでしょうか……?
だって、『Qバート』のキャラが『フィックス・イット・フェリックス』の中で死んでしまったら、復活できませんからね。おそらく、『Qバート』のキャラは、ここでは設定を書き換えられ、『フィックス・イット・フェリックス』のキャラになったのでしょう。
これって、ある意味“ターボする”よりも、ずっと危険ななことのような気もしますが……あくまで仮定でしかないですけれども。


■とあるゲームセンターの物語

この映画、とある一軒のゲームセンターが舞台なんですよね。

冒頭の30年間の早回しでも、色々なゲームが置かれては消え、次々と(当時の)最新ゲームに置き換えられていきます。
だけど、『フィックス・イット・フェリックス』だけは30年間、同じ場所で同じように稼働を続けています。
他のお店では、とうの昔に撤去されていたかもしれませんし、そうなるとゲーム筐体の中で大々的に30周年を祝うこともできず、Qバートと同じようにステーションで求職していたかもしれません。

それは、店長のリトワクさんの愛情ゆえなのでしょうか?
ゲーム機の不調をいちいち自身の奥さんになぞらえたり、『フィックス・イット・フェリックス』が不調で修理または撤去されることも、子どもに「ラルフとフェリックスには引退してもらわなきゃならない」と、愛情と惜別を込めて話す、優しい店長さん。
そして、翌日ゲームが元通りになっているのを見て、「ラルフが戻ってきた!」と喜んでいたり。
この方がゲームに愛情を注いでいてくれたからこそ、30年もの長きにわたってフェリックスやラルフが活躍できていたのでしょう。

しかし、リトワクさんには何の悪気も罪もないのですが、『ターボタイム』の目の前に新型ゲーム『ロードブラスターズ』が置かれたことが、すべての発端となってしまいました。
……つまり、ターボが嫉妬するような状況が生まれ、騒動が巻き起こったことも、じつはこのお店でしか起きていないことなのでしょうか?
だから、他のお店で稼働している『シュガー・ラッシュ』では、じつは最初からヴァネロペが大活躍してるのかもしれません。
一応、『シュガー・ラッシュ』の設定では「日によってレーサーが変わる」ことになっており、ヴァネロペが登場しないことも“ありうること”になってはおります。それでも最後に、『フィックス・イット・フェリックス』『Qバート』のキャラクターが出てきたことで、世界に一枚だけのスペシャルな基板になってしまいましたが……。


ゲームに愛情を注ぐリトワクさんと、ほんのちょっとした運命のいたずらが織りなす物語。
とある一軒のゲームセンターの、片隅にあるゲームでの出来事。
それでも、みんなが役割をこなしてくれることで、今日もプレイヤーが笑顔になるのです。
そのために、彼らはがんばってくれているのです。


もうそろそろ、この映画も公開終了となると思います。
ですが、じきにDVDやBDも発売されますし、この映画は新旧に限らずゲーム好きの人に是非観てほしい作品です。


スポンサーサイト
  1. 2013/05/04(土) 23:59:59|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

コメント

<%template_post\comment>


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://druagato.blog117.fc2.com/tb.php/180-4e07f36b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。